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GUNSLINGER GIRL 11巻

クローチェ事件の黒幕、ラスボス的存在のジャコモ=ダンテとの大決戦がメインの11巻。「期限」の迫った1期生をじわじわと蝕む異変。ヘンリエッタが「人間」だった頃の記憶がわずかに蘇ったのは抑制物質の副作用っぽい。そんな1期生たちはもはや捨て駒扱い。脇役義体1期生のシルヴィアとキアーラは担当官とキッチリ死亡フラグ立てたシルヴィアの方が対人地雷で絶命。そして同じく脇役ながら以前からちょこちょこ出番があり、最近はメインキャラとのカラミも時々あった寡黙・無表情なビーチェことベアトリーチェ。扉に登場したり冒頭からクラエスとしゃべってたり、担当官との会話なんてもう明らかに死亡フラグくさいと思ったら案の定。トリエラをかばって500kgミサイル弾頭をブン投げるというなんとも壮絶な最期で、サブキャラにしては破格の見せ場だったわけだが…ビーチェ…。俺、好きだったのになー…。これだけ犠牲を出しておきながら結局ジャコモは別の場所にいて取り逃がし、仇敵を目前に思考を憎悪一色に染め上げ冷静さを欠いていたジャンとジョゼには極めて苦い結末に。戦いの後のペトラとサンドロ、トリエラとヒルシャー、ジャンとリコそれぞれのフラテッロのやりとりがお互いの関係を如実に表わしていてなんとも。65話・66話のエンリカやジャン、ソフィアの過去話もその後を思えば切なくてたまらない。巻末には補足うんちく的にイタリアあれこれ解説ページを収録。
破滅と終末と悲劇と絶望と。そこに未来はなく、一切の救いはない。あまりにも深い悲しみと閉塞感に彩られた世界はしかしながら、きわめて淡々と時を刻む。誰もが幸せになれる道など絶対にありはしないというのに、彼らは、彼女らは、とても強い。だから、それがなおさら辛い。強烈に心を揺さぶられるというよりは、ぐっと心臓を鷲掴みにされたまま放してくれないような、息苦しい読後感。重く、ただ重く、重い。そんな空気もひっくるめて、俺はこの作品が大好きだ。
いろいろ忘れてる部分もあるから読み返そうと思ったけど1〜10巻は某友人に貸したままだった…。残念。

GUNSLINGER GIRL 11 (電撃コミックス)

GUNSLINGER GIRL 11 (電撃コミックス)