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ぢごぷり 1巻・2巻

タイトルは地獄のプリンセス略して「ぢごぷり」とのこと。木尾士目による全2巻の子育てマンガだがちょっと待ってほしい。事前予備知識のないそこの貴方、本当に覚悟はよろしいか?キャッチーでアットホームな表紙をめくって現れるのは「地獄」なのだから…。きっついという噂を聞いててある程度身構えて読んだ俺でさえ、予想の20倍きつくて打ちのめされたんだぜ…。
1巻表紙のしっかり姉(こっちが母親)と2巻表紙のツインテゴス妹(付き添い)の退院シーンから唐突に始まる物語。カバー下で斑目も呟いてる違和感バリバリのやたら丸っこい絵柄はさすがにいろいろ無理があったのか、4話あたりで早くも軌道修正される。1話あたりの分量は20頁未満とショート風味でサクサク進む。最初はまあこんなもんかーと油断させておいて5話ぐらいからだんだん雲行きが怪しくなり、8話〜10話で本領発揮。12話〜14話あたり(1巻ラスト〜2巻冒頭)が正真正銘の地獄。特に1巻はそこで終わるかって悶絶するぐらい最悪の流れ。うあああああ。
げんしけん」からこの作者を知った人にとっては悪夢以外の何物でもないような展開。なにしろ「げんしけん以前(四年生とか五年生とかもっと古いのとか)」を知っており、それなりの覚悟をしていたつもりの自分をもってしても心をバッキバキに砕かれたからね。この人の作品の特徴である生々しさってやつが本作ではネガ方向に振り切れて発揮された形。まさかマンガを読んでこんなにも深刻なトラウマを植え付けられるとは…。独身男の分際で「機会があったら子育てとかしてみたいよなー」なんて安易に考えたりして超ごめんなさい。母さん、育ててくれて超ありがとう。
「ていうかなんでこの家双子姉妹と赤ちゃんしかいないの?」的な疑問がいいかげん気になって仕方ない頃合を見計らって明かされる夫の他界→巻末の0話(過去編)に繋げる絶妙な進行。閉塞感しかなかった1巻に比べてキャラも増え幾分気楽に読める2巻では終盤「マンガらしい」展開を見せ、最終話では「夢オチ」ながらも「読者サービス」もあったり。「五年生」あたりだとひたすらにドス黒いだけだったのが、「げんしけん」を経てエンターテインメント性は格段に進化が見られるよねやっぱり。異常にダークなのはおいといて、マンガとして面白いと思うもん。まあ2巻ラストの展開はちょっち強引な気もするけど、1巻の空気のまま進まれても読者が窒息死するからなあ…。全2巻でサックリ終わったんも潔くて良し。あと、これだけ頻繁にモロ出しおっぱいが出てくるのにちっともエロく感じないマンガもそうそうないと思われ。
ちなみに個人的MVPは年齢不詳で童顔な3児の母・柊さん。いい仕事してるわー。

ぢごぷり(1) (アフタヌーンKC)

ぢごぷり(1) (アフタヌーンKC)

ぢごぷり(2) <完> (アフタヌーンKC)

ぢごぷり(2) <完> (アフタヌーンKC)