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エマ 9巻

番外編2冊目、のっけから主役がリスて…。脇役メイド二人の買い物とか、エレノアとウィリアムが見に行ったオペラ歌手の舞台裏物語とか、もう番外編もいいとこなんだけど、これがもう卑怯なまでに面白いんだわ。キャラはもれなく魅力的だし、揺るぎない「エマ世界」の空気が心地良い。19世紀のイギリスを舞台にしながら語句の解説や説明的なナレーションは一切なく、それでいて予備知識がなくても当時の思想や世界背景をある程度読み手に理解させる緻密な描写。徹底的に描きこまれた丁寧な絵がまたいいんだな。表情や微妙な仕草で、セリフのあるコマよりセリフのないコマの方が時に多くのことを語っていたりするのがすごい。しかしまあ「エーリヒとテオ」はさすがに面食らったというか…これなんて動物マンガ?と思った。いや面白かったけど。マジやりたい放題だな森さん…。そんな9巻で一番好きなのが第八話「歌の翼に乗せて」。ドロテアさんの迫力熟年おっぱいが素晴らしいし、終始裸でベッドの上ってナイスエロスなんだけど、そこにはただエロいだけじゃなくて上品な美しさがあるんだよね。ただ静かに絡ませる指に、結婚して8年半を経てもなお衰えぬメルダース夫妻の熱い愛と深い結びつきを感じる素敵な話。
番外編は本編を知らなくてもそれなりに楽しめるけど、登場人物を把握して読むと一層面白いね。まあ僕が見事に忘れてて、7巻読み返してあーそうかそうかこの人ねーって一人納得してたというだけの話。あと、9巻で初めて気付いたんだけど、普通の丸フキダシのセリフは英語で、ゴシック体で角丸フキダシはドイツ語っていう風にちゃんと統一されてたのね。すげー。とにかくあらゆる点でこだわりが尋常じゃない。「エマ」は後世に残したい作品だと思った。

エマ 9巻 (BEAM COMIX)

エマ 9巻 (BEAM COMIX)