DDD 1巻

読了。従来の型月ワールドと世界観を共有しない本作は、より現実社会の描写が増えているにもかかわらずより幻想的な雰囲気を醸し出している。空の境界よりずいぶん読みやすく、文体もくだけた感じに。そして物語世界へ引きずり込む力はますます強烈に。「J the E.」は導入ということもあってかそれほど入り込めず、あーこんなもんかと侮っていたら次の「HandS.」で完全にもっていかれた。「（R）」でつきまとった違和感、「（L）」でのタネ明かし。巧い。「formal hunt.」でも同様のトリッキーな文章に再度うまいことだまされた。悪魔憑きという設定、強烈な個性を持つ登場人物たち、読者を翻弄する構成、独特のテンポで展開する物語。これは面白いわ。
型月には珍しい人畜無害な純真女性キャラのツラヌイもいいけど、いたって普通の人間なのに怪物と対等に渡り合う女刑事マトさんが素敵すぎる。こやまさんの描くマトさんがこれまたイメージ通りすぎてたまらんね。

DDD 1 (講談社BOX)