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ブラック・ラグーン シェイターネ・バーディ


写真は購入特典のしおり。ファビオラ含め3種類からひとつ付いてくるようになってたっぽい。
虚淵玄という人は、どうしてこうも他人の作品を自分の物であるかのごとく自在に料理してしまえるのだろうか。好きだからとか、よく研究しているからとか、そういう次元ではない。恐ろしいまでの才能、としか言いようがない。Fate/Zeroでは原作で語られた伏線をありったけ回収するという無茶をやってのけ、そしてこのラグーンでも世界観とキャラのイメージを損ねないギリギリの線でやりたい放題。まあもともとメイドが殺人マシーンだったりあどけない双子がライフルや斧を振り回したり女子高生が極道の親分だったりするマンガなのでFateよりダンゼン自由度は高いんだけどね。それでもラグーンのキモである独特のセリフ回しもキャラに応じて完璧に使いこなしているのはそうそうマネできる芸当じゃない。ラグーン号による海上戦、影の主役である張とバラライカの見せ場など原作のオイシイところをふんだんに盛り込んでいるのも流石。まさかのローワン登場とレヴィのSMショー(挿絵付き)まで拝めたのは最高のファンサービスであり拍手。オリジナルキャラの造形も見事で、副題にもなった「悪魔の風(シェイターネ・バーディ)」スタンと彼にまつわる遊撃隊とバラライカの過去話はこの小説の要であり、原作のテーマを体現した昏く哀しいテイスト。そんでもってFate/Zeroイスカンダルが大暴れしたように、この小説でも「ニンジャ」シャドーファルコンが大活躍。前半は普通に手強い敵だったのに後半では完全にお笑いキャラに変貌。張さんのはっちゃけっぷりも素敵すぎた。
原作ファンなら「読んでおいて損はない」レベルではなく、「読まないと損をする」ハイクオリティ。活字でも悪者たちは華麗に躍る。

ブラック・ラグーン シェイターネ・バーディ (ガガガ文庫)

ブラック・ラグーン シェイターネ・バーディ (ガガガ文庫)