現在、ウラポネットは(ほぼ)休止中です。

中の人は主にお城ブログをちまちまと更新しています。

とらドラ6!

ああ、なんて美しいんだろう。
文化祭が終わり生徒会長選挙編な6巻は、主役の想い人というポジションながらここまでは奇行ばかりが目立ちもはや単なる変態扱いだった男・北村のターン。5巻でその兆候はあったのだが、あくまで主流はドタバタラブコメというスタンスでやってきたとらドラ!も6巻ではひと味違う。いや、確かにドタバタがあり、ラブコメであるのだが、なんていうか、ガチンコなのだ。何もかもがガチ。それが、もう断然面白かった。とりわけ終盤の竜児と北村のやりとり、会長の檄、北村の告白、大河とすみれの流血バトルという怒涛の展開はたまらなく熱くて、通勤電車でチマチマ読み進めてたんだけど我慢できずにラストは一気に読んで、ちょっと泣いた。カッコ悪い。北村も大河も竜児も、みのりんも亜美も、みんなみんなカッコ悪い。6巻表紙を飾る完全無欠だった生徒会長・狩野すみれでさえ大河と血まみれボッコボコに殴り合って泣きわめいて、カッコ悪い。本当にどいつもこいつもカッコ悪くて不器用でみっともなくてままならなくて、それがどうしようもなく眩しくて、美しい。どうしようもないことだってあると頭では分かっていても、手を抜いたり諦めたりできない、いつだって全力で真剣にしかできない、そんな青春まっしぐら。もちろんフィクションだから誇張もハッタリも見栄も非常識も多分にある。でも生徒がムチャすればちゃんと先生に怒られ、たとえ手乗りタイガーでも木刀持って3年生に殴り込みかけりゃ停学にもなる。学校という「制約」をちゃんと描いているからこそ学生という設定が活き、学校生活での青春が際立つのだ。そこらへんも上手い。6巻は、本当に何もかもが上手いなあと思った。ここへきて作者への評価がまた一段と上がった。とっても、引き込まれた。あまりにも不格好で、それゆえキラキラと、輝く。
クオリティ的にもそうだが、内容的にも北村のガチ告白を経てラブ方面で大きな動きがあり、全10巻の折り返し地点を過ぎて重要なターニングポイントだった6巻。本当にガチで面白かった。…ただ251頁の挿絵だけはいただけないかも…表紙の会長はキュートに描けてるのに…。

とらドラ! (6) (電撃文庫 た 20-9)

とらドラ! (6) (電撃文庫 た 20-9)