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アクセル・ワールド 1巻

「望む、ところです。この現実が・・・・・・壊れるなら」
アニメ化を機に、前々からビミョーに気になっていた原作1巻を購入。蝶の羽を生やした妖精の表紙絵にファンタジー物かしらと勝手な想像をしてたらバー○ャロン的なメカメカしい対戦格闘モノだったので超予想外。仮想ネットワークの普及した近未来世界や「ブレイン・バースト」の諸設定は設定厨の俺をwktkさせるに十分すぎる精緻さで作り込まれ、バーストリンカー同士のバトルシーンの描写などは手に汗握る臨場感を醸し出す。しかしそれらはあくまで装飾に過ぎず、この小説の本分は人と人との対話、感情のぶつけ合いにあると思う。デブでいじめられっ子の主人公・ハルユキが抱く劣等感と現実への絶望は非常に生々しく、近未来SFな世界で繰り広げられる現実離れした物語に驚異的なリアリティを与えている。あくまで後ろ向きで卑屈なハルユキだが、心の奥底ではそんな自分に嫌気が差し、変わりたいと、壊したいと願っている・・・その姿に激しく共感を持つのはきっと俺だけじゃないはず。かくして一歩踏み出したハルユキが黒雪姫に誘われ訪れた対戦格闘ゲームの域を超えた掟破りな「加速世界」、黒雪姫が語るブレイン・バースト世界での壮絶な過去、謎の襲撃者、幼馴染への疑惑とその解消、かと思いきやまさかの敵の正体・・・次から次へとハラハラドキドキの連続で、特に荒谷の「捨て身の復讐」からのシアン・パイルとの対決を描いた終盤の展開は少年マンガ顔負けの熱さで、ハルユキの「覚醒」やサブタイトルにもある「黒雪姫の帰還」といったラストのカタルシスも爽快きわまりない。この1巻だけでひとつの物語として完結している反面、続きが読みたいと思わせる伏線や懐の深さもあり、電撃小説大賞の受賞にも大いに納得の傑作。これだけ引き込まれ虜にされたラノベは久々な気がする。あれこれ長々と語ったけど結論としては超面白かったよマジでマジで!
で。黒雪姫先輩の本名は結局教えてもらえないわけですねわかります・・・。

アクセル・ワールド〈1〉黒雪姫の帰還 (電撃文庫)

アクセル・ワールド〈1〉黒雪姫の帰還 (電撃文庫)