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俺の妹がこんなに可愛いわけがない

少し前に某友人から大量にマンガやらラノベやらを押しつけられ…じゃなくて譲り受けた際、何故か1巻が無く2巻〜4巻だけが入っていたという軽い嫌がらせをされたのがこの作品。そのまま部屋の片隅に埋もれていたのだが、つい先日活字欲が湧きあがってきた時にたまたまそのことを思い出して1巻購入、同時に化物語も買ったが久々の小説だしまずは軽い方から…とページをめくった1巻。通勤途中や休憩時にちまちま読み進めるつもりがほぼ1日でイッキに読了、しかも終盤なんかは熱中しすぎて電車を最寄りからひと駅乗り過ごしてしまうほど(実話)。いやいや、こんなに面白いわけがないとかちょっとナメてたら見事に予想を裏切ってくれたわ。
文体はキョンよろしく全て兄・京介のモノローグ。服装やら部屋の間取り・インテリアやらにいちいち詳細な解説があり、舞台を容易に想像する手助けになっている。物語は、なんか妹が実はオタだっていうのを風の噂で聞いてはいたのだが、まさか妹ゲー(18禁)好きだとは…。妹キャラ激萌えな妹はまあ百歩譲ってよしとしよう。だが、秘密を知られたからといって実兄と一緒に妹ゲー(18禁)をプレイしようとする妹(中学生)ってどんなだよ!エロゲの妹キャラよりありえなくねーか?しかもこれだけでお腹いっぱいなのに、「まだ見せられない」シロモノがあるってどんだけだよ!超見てーよその押し入れの奥!オタ話をする桐乃の饒舌さといったらもう…はてなアンテナ・かーずSP・アキバBlogといった単語がオタクとしてのリアリティを生々しく演出してるよね。で、第三章・オフ会編で和んでたら、第四章の親バレ編でドキドキハラハラ。ちょ、この親父はいくらなんでも説得不可能だろ…と思ったらそうきたかー。で、最後のトドメに「ありがとね、兄貴」だ。冒頭との対比といい、締めくくりの言葉といい、うまいことまとまってる。ぐっ…これはちょっと、リアル妹を持つ身(俺含む)であっても桐乃にきゅんとこない方が嘘だろう。まあその嗜好はオタ(俺含む)でも相当理解に苦しむが…。こんなにも可愛い妹がいて、オマケに自分にベタ惚れの地味な幼馴染女子がいる京介は間違いなくリア充であり人生勝ち組であり俺らの敵。お前自身は普通で平凡かもしれねーけどお前の置かれてる環境は全然平凡じゃねーよ!妹はともかくメガネっ子幼馴染とか羨ましすぎるよ!
妹の可愛さをさらに倍増させてるのが挿絵。丸っこさと程よいぷに度を含有したかんざきひろ氏の絵柄は表紙絵からして購買意欲をそそり、挿絵もここぞという場面でうまいこと挿入されなおかつどれもクオリティが高い。とりわけ、ここまでしかめっ面ばかりだった妹のラストの微笑みの破壊力といったらもう、もうっ。ラノベにおける挿絵の重要性を改めて認識したのであった。
妹がいる男子にとって「妹萌え」という嗜好が理解できないのは、妹の容姿・性格・言動にかかわらずそれが「妹」である時点で攻略対象外であり妹ルートへの選択肢はただのひとつも現れないからである。最初から、根本から妹を性的あるいは恋愛対象として見るという思考が存在しないのだ。エロゲやエロマンガのような展開は絶対にあり得ないし起こり得ないのだ。この作品でも京介がそうやってさんざん力説しているようにだ。だからこそ、俺はこの作品を妹がいる男子に読んで欲しい。そして兄貴目線に共感し、妹に対する動揺やら兄の変化やらになんともいえない微妙な気持ちになってほしい。特に、自分とは似ても似つかないような美人の妹を持つ兄にオススメする…そう、俺のような男にな!(妹は今でこそ残念な三十路独身ですが学生時代はそれはもう目のさめるようなべっぴんでした)(それだけにこの小説読んで京介に過剰に感情移入しちゃったわけで…いやマジで妹とどうこうとか超あり得ないんだけど…けど…ほら…ねえ?)